支援活動視察レポート 2007年

現地視察団レポート

本コーナーでは、キリンMCダノンウォーターズ(株)・ボルヴィック1L to 10Lプログラムリーダーである吉沢直大が現地視察団の活動内容をレポートします。

支援活動の大切さをあらためて感じた、大きな収穫の視察

2007年に日本でスタートする「「1L for 10L」プログラム」に先立ち、去る5月7日~11日の期間、「ボルヴィック 1L for 10L視察団」として支援活動の現地・マリを訪問してきました。目的は、本プログラムを実施するものとして、現地での現状を把握し、ボルヴィックが行う支援活動の内容を理解すること。現地で活動を行うユニセフのスタッフや、実際に活動が行われるモプティ行政区の住民の皆さんとの交流を通じ、様々な話を聞くことができました。皆さんにこのレポートを通して「1L for 10L」にご参加いただく意義を共感していただければ幸いです。今回の視察は、ダノン ウォーターズ オブ ジャパン 代表取締役社長、リチャード・ホールをはじめとするプロジェクトチーム主要メンバーによりアフリカ・マリ共和国にて行われ、先行プログラムの進行状況確認、現地の方との交流およびニーズの再確認を行いました。

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水に関する問題の現状の把握とユニセフの活動内容の視察

現在の気温49度。50度までの温度計が振り切りそうです。

「視察団を迎える村の方々」

色鮮やかな衣装に身を包んで出迎えていただきました。

勇壮な歓迎の踊りに参加しました。

デジタルカメラで撮った写真を見る子どもたち。子どもはどこでも変わらないです。

「現地の井戸」

一般的にこのような井戸に水を汲みにきます。蓋もないために、衛生的とはいえません。

「現地の学校に通う子どもたち」

水汲みやメジナ病のために学校へ通えない子どもたちがまだたくさんいます。

「水を運ぶ子ども達」

水汲みは子どもや女性の役割です。遠くの水場へ1日数回汲みに行っています。

支援する村で受けた温かい歓迎と、清潔で安全な水がない厳しい現状

日本を出発してから3日間の長旅を経て、いよいよ支援活動が実際に行われるモプティ行政区の視察に向かいます。今回訪れる村は、あらかじめボルヴィックがユニセフを通じて、井戸を建設する予定地となっている村。都市部から車で移動すること2時間半、雨季には緑色一色になることが信じられないような乾いた大地に囲まれたゴロンボ地方の2つの村を訪ねました。この日の最高気温は49度。体験したことのない暑さに現地の人々の生活の過酷さを実感しました。 ※6月~10月頃が雨季。11月~5月が乾季。

笑顔に満ちた盛大な歓迎

訪問した2つの村ではそれぞれ、皆さんとても温かく迎えていただきました。村長を基とする村の方々からご挨拶をいただいたあと歓迎の舞踊が始まるというのが、マリの客人の迎え方のようです。多くの方々は、マリの主産業の一つでもある染織を使った色鮮やかな衣装を身につけ、音楽や踊りで式典を盛り上げます。2つの村は隣接しているものの、部族が異なるためか踊りや音楽はそれぞれ異なる形式であったことが大変興味深く、村の人々の顔立ちも部族により異なります。2つ目の村では、空砲がこめられた銃を構えての勇壮な踊りの輪の中に、我々も加わり、交友を深め大いに盛り上がりました。子どもたちも無邪気でとても人懐っこい。おそらく初めて出会った東洋人である我々にも、興味津々です。カメラを見ると、撮ってもらいたいのか、みんな集まって近寄ってきます。それぞれの村で、式典が終わったあと、水事情について現状の井戸を視察したり、人々に話しを聞きました。

目の当たりにした厳しい水の状況

最初の村にて、歓迎されやや興奮気味となった我々は、一点して厳しい現状を目の当たりにして絶句いたしました。村より歩いて比較的近くにあった、現在使用されている井戸の水の色は茶色。人々は、この茶色い水を汲み、そのままバケツに入れる。そして、炎天下の中のどが渇いたのか、子どもたちはその水を、ためらいもなく飲んでいたのが印象的でした。そして、この不衛生な状況の井戸には雨季になると、近くにある家畜の糞も入り込み、それが原因となって、伝染病が蔓延するそうです。

過酷な水汲みについて

マリでは水汲みは女性・子どもの役割と決まっているそうだ。(男性の役割は、まき集めや農業、建築) 集落の状況によるが、水汲みの頻度としては1日4?5回、遠い住民は井戸まで3キロの道程をたどることになるという。また、子どもたちが通う学校の中には近くのポンプが故障しているために、家にいたほうが水が飲めるという理由で学校にこない子どもや、家の水汲みの手伝いを優先するために学校に通うことができない子どもも少なくないそうです。訪れた村では、水の供給が十分でないため、農業もできずに現金収入がなくなり、子どもを学校に送ることができなくなった方もいるそうです。水の供給が良くないことにより、病気だけでなく、子どもの教育などのさまざまな生活の妨げにもなっていることがよく理解できました。

水が原因の病気:メジナ虫病について

メジナ虫病という病気を、このプログラムを通じて初めて聞いた。現地での、ユニセフの水の活動の目的のひとつは、メジナ虫病の撲滅です。清潔で安全な水へとアクセスできれば、なくなる病気だそうです。メジナ虫病にかかったことのある人が悲壮感をもって、その体験を語ってくれた。雨が降ると滞留して汚くなるような、不衛生な水路の水の飲用によりメジナ虫病にかかってしまい、感染し約9ヶ月間の保菌期間後に発症、この住民の場合、膝の後ろからメジナ虫が皮膚を突き破って出てきたそうだ。これが人生で一番の痛みだったという。メジナ虫は基本的に死に至る病気ではないが、非常に激痛を伴い、まれに鼻の穴や口から一度にメジナ虫が出ることで呼吸困難になり死亡してしまうケースもあるそうで、家族にその感染者がでると、家事もできなくなるので、家庭が破綻することもあるという。しかし、清潔で安全な水を飲めば、予防できる病気であり、ユニセフが井戸をつくった他の村では、この病気への感染者がいなくなったという。 このように、清潔で安全な水の提供により確実に減らすことのできる病気なのです。

現地の人々にとっての水の持つ意味

訪問したほかの村の村長は、「水は宝物だ」と我々に話してくれました。その言葉が決して大げさではないほど、近くのポンプから清潔で安全な水を飲めるようになることは現地での生活を大きくいい方向に変えるそうです。遠くの井戸まで水を汲みに行く必要がなくなるので、子どもたちは安心して学校に通えるようになります。農作物なども安定して育てられるので生活水準が向上し、子どもたちのために教材が買えるようになるだろうし、今までもきれいな水がもっとたくさんあるといいのに、と思っていました。汚れた水を飲んでメジナ虫病にかかると働けないことで生活に影響が出てしまうが、きれいな水がいつも飲めれば、赤ちゃんのいる母親の健康状態も向上するので赤ちゃんも母乳が飲めるようになり、子どもの栄養状況の改善にも結びつきます。

Missekele (ミゼクレ)に住む 村長Nouh Couulibaly氏のお話

ユニセフやダノンのおかげで、清潔な水が飲めるようになるのはとても嬉しく思っています。ここだけでなく、他の村も助けてもらえるともっと嬉しいです。

Amadou Kiassambara(アマドウ・カサンバラ)氏のお話

2つの手押しポンプ付の井戸ができることを、大変嬉しく思っています。井戸ができる前は、腹痛や下痢に悩んでいたが、新しい井戸ができることで改善されると期待しています。

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掘削中の井戸の様子

井戸を掘削する機械、とても大きい。

スイッチを押すと、吹き上がった水

子どもでも簡単に使えるポンプ。深い地中から、水をくみ上げることができ、メンテナンスが簡単な仕組みです。

新しい井戸の周りにあふれる笑顔

ボルヴィックの支援が実現する現場を見ての興奮

井戸を掘る大きな機械。村の中心部からすぐのところ、機械が置かれた場所が、ボルヴィックの支援によりユニセフが井戸を建設する。その井戸の建設を祝うセレモニーが開催され、この村の住人、我々に同行したマリ国営テレビを中心とした地元メディア、地域の役人など、ほんとうに多くの方々がこのセレモニーに参加しました。井戸の建設に対する村人の期待と、プロジェクトに対する関心の高さを感じます。式典の最後にはスタッフに促され、ユニセフ・マリ事務所代表のMarcel Rudasingwa氏と、視察団の代表者の2名が掘削機械の操作盤の前に立ち、記念にこの掘削機のスイッチを押しました。すると程なく、機械が刺さった地面から水柱が!実は、この現場、もう少しで水源に到達することになっていましたが、セレモニーにあわせて水が出るように調整してくれ、感動的な瞬間に立ち会うことができました。

もう一方の村を訪問すると、井戸の設置がすでに完了していて、先ほど機械のスイッチを入れた代表2名が試運転、何度かハンドルをこぐとポンプの口から水が流れ出し、最初は土の色をしていた水ですが、1日ほど使うと、水は透明になるそうです。大きな歓声があがり、ポンプには子どもも大人も集まって喜んでいる姿が印象的でした。このポンプは「インド・マークII」と言い、鋼鉄製で丈夫な上に構造が シンプルなので、修理やメンテナンスがしやすいです。手押しポンプを押すことで、地中深いところから清潔で安全な水をくみ上げることができます。

視察の最終日には、両方の村には我々の支援でつくった井戸のポンプから水がでるようになっており、井戸の横に目をやると、井戸ができて間もないにもかかわらず、この井戸の水を使って営む予定の畑が作られていました。「農業が営めるようになれば、現金収入もできて、子どもたちを学校に通わせることができるかも知れない。」地元の人が語ったその言葉に、井戸からの清潔で安全な水が、健康状態だけでなく、生活のさまざまな要素を改善できることを実感できました。井戸が人々の生活に根付いたあとの様子を知りたくて、すでにユニセフの支援により、作られた同じ型の井戸がある別の村を訪問しました。井戸の運営をボランティアで行う青年が見守る中、女性と子どもたちが並んで、朝7時から夜中まで水を汲み続けています。そこには、明るい笑顔があふれていました。

マリの子どもたちの人懐っこい明るい笑顔が、「1L for 10L」プログラムの支援により作られた井戸の周りでたくさん生まれることを願うばかりです。

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ユニセフ・マリ事務所を再度訪問

視察を終え、ユニセフ・マリ事務所を再訪問。ホール社長がプロジェクトへの思いを胸にユニセフ・マリ代表と力強く握手。

視察を終えた、視察団のメンバー。このプロジェクトへの期待と貢献度の大きさを改めて実感しました。

報告と決意

ミーティングの席上、ユニセフ・マリ代表のMarcel Rudasingwa氏より「マリのような国で水源を確保することは簡単なことではないが、チャンスは必ずあり成果をあげることができると信じています。清潔で安全な水をマリの人々に供給するために、今後もお互いに情報交換をしあって、持続的なプログラムを共同で続けて行きたいと思っています。最後に、今回の皆さんの訪問に心から感謝します。本当にありがとうございました。」とのコメントをいただきました。

これに対し、リチャード・ホール社長は「まず、今回のマリ現地視察を、忘れてはいけないと思っています。今回マリを訪問し、実際に昔ながらの井戸や新しいポンプを見比べたり、現地の人々の生活に触れたりすることができ、今回のプログラムがマリの現状を打開し、住民の皆さんに大きく貢献できることを確信できました。また、実際の水供給だけでなく、水の確保を解決することで、教育問題や女性の社会進出等、改善できることが多くあり、そういった面からも社会に貢献できることを実感した視察でした。帰国後は、今回マリに来られなかった社員や社外の人々に少しずつでも伝えて行きたいと考えています。そして、このプログラムに賛同してくださった方々が、その人の仕事や生活の範囲で、できることから取り組んでくださることを期待しています。」とのコメントを発表。

今回の視察により、水へのアクセスの悪い地域での厳しい状況、そして清潔で安全な水がもたらす効果を目の当たりにして、ユニセフの行う水の支援活動の意義を視察団一同、強く実感することができました。「1L for 10L」プログラムにより、ユニセフの活動を支援して、笑顔にあふれる井戸を、この地により多く作りたいという思いが強まりました。

現地報道のご紹介

現地報道の画像1

現地報道の画像2

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ミーティングレポート

現地の関係機関を訪問して、視察前にミーティングを行いました。

マリ共和国の国家水省を訪問しミーティング。国内の水事情について、政府の施策や市民の生活などの面から、Maric Alhousseyni氏にお話しを伺いました。「マリにはニジェール川とセネガル川という大きな川が流れていることもあり、水は豊富です。問題は、特定の地域に水が集中しており国民に平等に水が行き渡っていないこと、そして水資源を確保するための資金が不足していることにあります。1960年の独立以降、水周りの整備を重要な問題として政府をあげて取り組んでおり、2003年には大規模な国家調査を行い、現状把握とそれを踏まえた施策を講じてきました。特に都市と村の格差は激しく、水の供給が全く行き届いておらず、井戸はあってメンテナンス不足で機能していない等、集中的に改善を図る必要のある地域が農村部に多く見られます。現在、優先順位を決めて、集落の規模に応じた給水設備の設置を進めていますが、資金が足りず計画通りに進んでいないのが実情です。今回のプログラムを通して実施される支援活動は、われわれにとって大変重要な役割を果たしています。これをきっかけに日本の皆さんに水問題について知っていただくとともに、他のパートナー間でもひとつの話題となることで、資金集めの足がかりとなることを期待しています。」とのメッセージを拝聴し、我々の支援活動の持つ意味、そして安全な水を待っている人々の期待の大きさを再確認することができました。

マリ共和国 国家水省庁舎

国家水省でのミーティング風景

マリ共和国・国家水省
Maric Alhousseyni氏

ユニセフ マリ事務所を訪問

次に視察団は支援活動の拠点である、ユニセフ・マリ事務所を訪問。今回のプログラムにおける活動目標や対象地域の現状についてのヒアリング等、現地視察に関するミーティングを行いました。現地の事務所の代表である、Marcel Rudasingwa氏をはじめとして、多くのユニセフ職員の方が温かく迎えてくれ、ミーティングルームにてお互いのメンバーの紹介をしました。初対面ではありますが、水の支援を行うという目的を共有できているため、なごやかな雰囲気の中ミーティングは進行しました。ミーティングの最後に、リチャード・ホール社長が「我々ダノン社は、世界50カ国で事業を展開するミネラルウォーターの大手グローバル企業のひとつとして、これまで採水地の環境保全に力を注いできましたが、今後は活動の幅を拡大し、世界的な水問題へ取り組んで行きたいと考えています。今回のプログラムを通じて、日本の消費者が世界の水問題に関して知る機会を創出し、また、実際に資金提供という形でマリにおける清潔で安全な水確保に向けて支援していくことを目指します。」とのプログラム成功を目指すとともに、継続的な支援に対する強い意志表明を行いました。

ユニセフ・マリ事務所

ユニセフ・マリ事務所でのミーティング

ユニセフ・マリ事務所代表
Marcel Rudasingwa氏

ダノンウォーターズオブジャパン
リチャード・ホール社長

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プレスルーム


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